日記7.塩野講義案(6/28)
塩野『行政法第一部講義案(上)』を読んだ。
やっぱり行政法総論は、いつになっても理解が進まない…
いくつか気になった点はあるのだが、山本の講義と比較して気になった点のまずひとつは法治国原理Rechtsstaatsprinzipである。
なにしろ山本の講義では法治国原理の話が長かった。
章立てで見ると
山本「行政法の基本原理」
行政法総論の方法と体系
法治国原理
民主制原理
権力分立原理
法律による行政の原理
一方で
塩野「日本行政法の基本原理」
序説
法律による行政の原理
行政のコントロール・システムの充実
法の一般原理
「法律による行政の原理」では、2人とも主にOtto Mayerの議論を下敷きにしているという点で共通しているため、大枠での違いは小さい。(もちろん、根拠規範の議論における基本法の話、本質性理論の強調など違いはある)
違いが大きいのは、信義則や比例原則、平等原則の扱いである。塩野はこれらを単に「法の一般原理」として(それぞれ、民法、警察法(独)、憲法から発達した法の一般原理として)扱う。一方、山本はすべて「法治国原理」のなかで説明する。
Diceyの語る「法の支配rule of law」を対置する形で、Stahlの「法治国原理Rechtsstaatsprinzip」を引き合いに出し、この対比で強調される、形式的に法によって拘束される国家という形式的法治国家概念を(ここまでは塩野行政法でも触れられている)、Schmidt-Aßmannを援用しながら否定する。恐らく俺は、このSchmidt-Aßmannの議論が読めていない。「距離と差異の概念でパラフレーズする」とはどういうことなのか。
どうも山本先生や太田先生が留学中の指導教官がSchmidt-Aßmannだったようで、よく耳にはする…彼らが訳した邦訳もでているので、近いうちに読みたいと思う。